● | 朝食の欠食率について、男性では、20歳代及び30歳代、女性では20歳代が最も多い傾向がある。また、朝食欠食が始まった時期を比較すると、男女共に20歳を過ぎてからが最も多い。 |
● | なぜ、朝食を食べる事が必要なのか、時間栄養学の観点から言えば、それは、朝食を食べることで体内時計がリセットされるから。人間の脳には、時計遺伝子が組み込まれていて、慨日リズム(サーカディアン・リズム)を刻んでいる。この慨日リズムは、25時間周期であり、放っておけば、毎日1時間ずつ遅い方にずれていくことになる。 |
● | それをリセットするのが、朝の太陽の光と、朝食である。朝の光が脳の視床下部にある主(中枢)時計遺伝子に刺激を与え、朝食が小腸や血液などの細胞の末梢時計遺伝子の刺激となり、両者が同調して24時間の日周リズムを保っている。すなわち体内時計がリセットされる。 |
● | 朝食を抜くと、2つの時計遺伝子の同調がうまくできないので、体温、血圧、代謝などのリズムが崩れ、主時計遺伝子の生体防御反応により、エネルギー代謝が制御され、脂肪合成を促進する。結果として、運動能力を低下させ、肥満の要因となる。 |
● | 朝食は、生体の24時間の日周リズムを保ち、生活リズムを整える。朝食を食べている子どものほうが、欠食している子どもに比べ、集中力が高まり、成績が良いという理由もここにある。 |
● | 朝食は、生体の24時間の日周リズムを保ち、生活リズムを整える。朝食を食べている子どものほうが、欠食している子どもに比べ、集中力が高まり、成績が良いという理由もここにある。 |
● | 全寮制の自治医大生を対象に朝食摂取者と欠食者の成績を比較したところ、摂取者の成績が高いことが分かった。また、小・中学生を対象とした調査でも摂取者の方が、成績が高いことが分かった。 |
● | また、中学生を対象とした調査では、朝食欠食は、成績に関係するだけではなく、健康状態など生活の質(元気がない等)に対しても影響を与えることが分かった。 |
● | 朝食は、寝ている間に枯渇したエネルギーを補給し、体温を上昇させ、身体の活動を高める役割がある。 |
● | エネルギーの補給には、ごはん・パン・麺などの主食。体温の上昇にはたんぱく質の供給源となる肉・魚・卵・大豆製品を主材料とする主菜。それらの栄養素を効率よく代謝するにはビタミン・ミネラルの供給源となる野菜・海藻・きのこ・いもを主材料とする副菜。この3つを組み合わせた食事が望ましい。 |
● | 体温上昇の関連で話をすると、食事をとると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費される。そのため、食事をした後は安静にしていても代謝量が増加する。この増加を食事誘発性熱産生という。 |
● | 食事誘発性熱産生は、たんぱく質のみで摂取エネルギーの約30%、糖質のみで約6%、脂肪のみで約4%増加する。 |
● | 通常の食事はこれらの混合で約10%程度であるが加齢や運動不足で筋肉が衰えると、基礎代謝が低下するだけでなく食事誘発性熱産生も低下する。逆にトレーニングで筋肉を増やすと食事誘発性熱産生は高くなる。 |
● | 主食・主菜・副菜のそろう一汁三菜の食事は、日本人の健康にとても大切である。小学生を対象とした調査でも、主食+2品以上の朝食を食べている児童の方が健康状態が良いというデータもある。 |
● | とはいえ、朝からバランスの良いいくつも料理をつくるのは大変なので、肉や魚と野菜を組み合わせたスープとご飯(パン)といった組み合わせで、簡単に主食、主菜、副菜のそろう朝食が実現できる。また、同じスープでも温かいスープの方がより体温上昇に効果的と言われている。 |